ファミリーマートとの提携について記者会見する日本郵政の長門正貢社長(右)=5日、東京都千代田区【拡大】
グループ従業員22万人のうち20万人を抱える高コスト体質の日本郵便。豪物流最大手のトールの買収やファミリーマートとの提携による国際配送サービスなど、国際物流事業で収益拡大の道を探る。5日に発表されたファミマとの提携では、内外のファミマの店舗をネット通販の配達拠点に活用するほか、現在500店舗に設置しているゆうちょ銀のATM(現金自動預払機)を「全国に2000~4000台追加する」(日本郵政の長門正貢社長)。
日本郵政の長門社長は会見で「これまでの協力を一段高い提携関係に格上げして両社の企業価値を高めたい」と期待を寄せた。だが、関係者によると、提携事業の協議はファミマが提案する幅広い提携事業に対して、郵政側が仕分けする形で進められた。
昨年5月に買収したトールとの連携の道筋は、1年経過してもみえてこない。日本郵便の2015年4~12月期決算で、国内の郵便や物流事業は前年同期の97億円の赤字から29億円の黒字に転換したが、人件費が収益を圧迫する構造は変わらない。野村証券の広兼賢治アナリストは「高コストのユニバーサル(全国均一)サービスの利用料金は高いということを国民に理解してもらうしかない」と述べ、料金値上げが必要と指摘する。