≪STORY≫
いまやビジネスマンの“仕事場”は、移動中や商談先、果ては自宅にまで広がっている。可能にしたのはスマートフォンやタブレット、小型パソコンなどのモバイル機器の普及。だが、高機能化していても使い勝手が置き去りにされていないか-。そんな開発者の肌感覚が、潮流とは逆張りのミニマムパソコン開発へとつながった。
「ちょっと窮屈だな」。2013年3月ごろ、キングジム商品開発担当の冨田正浩さんは海外出張中の飛行機内で、ノートパソコンと格闘していた。持参したパソコンは14インチ画面で前席の乗客が座席を倒すと十分に開けず、機内サービスの飲み物を置く場所にも事欠いた。
しかも、出張先ではプロジェクターとつなぐパソコンの端子が合わず、結局パソコンを先方から借りる羽目に。「自分の用途に合わないとだめだ」。冨田さんは帰国後、別のパソコンを物色したものの、現行機種は高速処理や大容量の記憶装置を誇っても、冨田さんが求めるコンパクトで従来の端子まで備えた機種は見つからなかった。
生来の開発の虫が騒ぎ出す。「それなら小型で本当に必要な機能が入ったパソコンを自分で作ればいいさ」。キングジム初のパソコン開発は、こうしてスタートした。