【開発物語】「本当に必要な機能が入った小型パソコンを」…携帯性と利便性を両立 キングジム「ポータブック」 (3/8ページ)

2016.4.25 05:00

コンパクトな大きさで飛行機内でも場所を取らずに作業ができるポータブック

コンパクトな大きさで飛行機内でも場所を取らずに作業ができるポータブック【拡大】

  • 開発に約1年をかけたというスライド式の折り畳みキーボードは、計約2万回の開閉にも耐える
  • 汎用性のある端子を備え、コンパクトサイズながらモバイル機器としての実用性を高めた
  • 冨田正浩さん(前列中央)ら開発チームのメンバー。意見を交わしながらポータブックを磨き上げた
  • 折り畳むとA5サイズのポータブックは、女性のカバンにも楽々収納

 だが、冨田さんとメカ担当の平山昌俊さんは台湾に足しげく通いながら、ペガトロン側と粘り強く意思疎通を図った。試作品ができては送り返すという作業をしばらく繰り返すうち、「日本メーカーの考え方が伝わった」(平山さん)。最終的には4回目に台湾から納得いく試作品が送られてきた。

 14年末には、8インチディスプレーの調達難で開発がストップするアクシデントにも見舞われたが、新たな供給先を探して量産化にこぎつけた。

 携帯性を重視して機能を絞り込んだことで、思わぬ副産物も得られた。処理エンジンに廉価なAtomを採用したところ、ソフトウエア担当の伊吾田文彦さんが気づいた。「消費電力が少ないから電源も簡素化できるのでは」。こうして採用されたのはスマートフォン用などに使われる小型USBによる給電方式で、スマホと電源アダプターを兼用させることが可能になった。出張では荷物を減らせるメリットにつながる。

 これまで個性的な商品を生み出す「ニッチ戦略」を売りとしてきたキングジム。ポータブックの開発当初、社内には家電メーカーがしのぎを削るモバイルパソコン市場への参入を疑問視する空気もあった。だが、開発が進めば進むほど個性に磨きがかかるポータブックに対し、いつしか社内評価も変わっていったという。

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