企業が個人のアイデアを支援する動きも。3月31日に東京大学情報学環・ダイワユビキタス学術研究館で発表された「RICOH THETA × IoTデベロッパーズコンテンスト」。リコー(東京都中央区)が販売している、全天球撮影が可能なカメラ「RICOH THETA」を、ネットワークを介して動作させるためのプログラムをオープンにして、企業や研究者でも考えつかないTHETAの使い方を世界中から募っている。今年が2回目で、昨年はドイツから寄せられた、全天球イメージに3Dオブジェクトを追加できる技術が大賞を獲得した。
審査員を務める東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏は会見で、IoTの時代は、企業が持っている技術や情報をオープンにして、広くアイデアを募って発展させていく意義を訴えた。リコーで新規事業・プラットフォーム開発センター所長を務める大谷渉氏も、「メーカーがお仕着せの製品やサービスを提供するだけでなく、お客さまといっしょにビジネスを育てていく形態へ」と、企業が変わっていく必要性を指摘した。
坂村教授は「総額500万円という賞金は、強いインセンティブになる」とも。IoTにつながる構想を早くから打ち出し、2015年に国際電気通信連合(ITU)が創設150周年を記念して行った表彰で、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツらと並んで選ばれた坂村教授。審査員として参加するこのコンテストでも、オープン化によって世界中にいる才能に参加を促し、誰も考えつかないようなアイデアを得ることで、IoTの普及が進み、社会や暮らしが一段の発展を遂げることを目指している。