現在も日航を含む航空各社とJR西の山陽新幹線は大阪-九州間などの交通手段としてしのぎを削るライバル関係にある。
それでもJR西の堀坂明弘常務執行役員は「インバウンドの増加で交通需要そのもののパイを増やすことが大事で、国際線と国内の鉄道の相互の移動をどうやって増やしていくか、今後とも連携を強めたい」と説明する。
インバウンド需要を取り込む提携の鍵となるのは日本列島を東西に走る新幹線の活用だ。これまでインバウンドは、ゴールデンルートといわれる「東京-富士山-京都-大阪」に集中する傾向があったが、政府は平成32年には訪日外国人を現在の2倍となる4千万人に増やす目標を掲げ、今後はゴールデンルート以外の地方都市にインバウンドの需要を振り分けていく必要がある。
この点では、ゴールデンルート以西に広がる山陽新幹線を抱えるJR西には需要創出の絶好の機会にもなる。関空に到着したインバウンドが新幹線でさらに西日本の地方都市に行くルートが確立できれば、大きな商機になりうる。
JR西の堀坂常務執行役員は「タッグを組まないとやっていけない」と言い切る。これまで国内の交通需要をめぐってライバル関係だった両社が「利用者の利便性」のもとに提携に踏み切ったが、今後さらに提携拡大し、インバウンド増加につなげるか。提携第1弾の成否はまず試金石となりそうだ。