世界の貧困解決のため「みんなを身内にする」社長 田原総一朗氏が迫る (2/8ページ)

 【田原】ボランティア活動ですか?

 【田口】そのつもりでした。でも、あるNGO職員の方からこう教えてもらったんです。「自分たちの活動は寄付に支えられているが、やっているのは波打ち際に砂山をつくるようなもの。つくっては波に消され、またつくって消されるという繰り返し。本気で貧困問題を解決したいなら、お金もコントロールする力を持たないといけないよ」と。それを聞いて、自分はビジネスでアプローチしようと考えました。売上高1兆円の企業をつくって1%を寄付したら、毎年100億円出せる。安直ですが、貧困を解決するにはそれが近道だとそのときは考えました。

 【田原】ビジネスするために何をしたんですか?

 【田口】1年間休学して、ワシントン大学に留学しました。ビジネスなら、なんとなくアメリカかなと(笑)。

 アメリカに行った一番の目的

 【田原】ビジネスは学べました?

 【田口】大学のある授業では1日何十ページも読んでこいっていわれます。最初は真面目にやっていましたが、日本語なら30分で読めるものを3、4時間かけて読むのがばからしくなって結局授業に行かなくなりました。

 【田原】それじゃアメリカに行った意味がないじゃない?

 【田口】アメリカに行った一番の目的は、ビジネスプランを決めること。大学のあるシアトルはカフェの街でした。それをヒントに、貧困農家から仕入れたフェアトレードティーの店をやろうと考えました。シアトルの茶葉商社やレストラン経営者に「日本に帰ったらこういうことをやりたいから勉強させてくれ」とプレゼンして回り、茶葉のブレンドなど修業させてもらいました。

 【田原】留学は無駄ではなかったわけね。それからどうしました?

 【田口】帰国後はベンチャーキャピタルを回って開業資金を集めました。資金を出してくれるところが1社見つかりましたが、担当の方は「理念はわかるけど、品質の安定性や価格を考えると、最初は商社から買ったほうがいい」と言う。自分は貧困農家との直接取引にこだわっていたので、結局話はまとまりませんでした。

まず就職、ビジネスの川上から川下まで経験