世界の貧困解決のため「みんなを身内にする」社長 田原総一朗氏が迫る (5/8ページ)

 700人以上の雇用を生んでいる

 【田原】どうして革なんですか。

 【田口】何がバングラデシュという国にとっていい事業なのかと考えていたときに、イードというイスラム教のお祭りがあるのを知りました。イードは牛を神様に捧げる犠牲祭で、肉は食べますが、その皮が大量に出る。それを日本の革縫製の技術で製品化して輸出すれば、自国の資源を活かした高付加価値の大きな産業がつくれるんじゃないかと。

 【田原】なるほど。工場は田口さんが仕切っているのですか。

 【田口】バングラデシュ人です。日本の革職人さんにお願いし、革のすき方からミシンがけまで教えてもらいました。帰国後、彼とその友人2人で立ち上げたこの工場は、いまでは700人以上の雇用を生んでいます。

 【田原】え、そんなにたくさん雇ってるの! 売れているんですね。

 【田口】日本にビジネスレザーファクトリーというブランドで8つ直営店があります。

 【田原】いまソーシャルビジネスをいくつやっていますか?

 【田口】10事業です。ぜんぶで売り上げは33億円ほど。これ以外に、いまも5事業ほど立ち上げ準備中です。

 【田原】社会の課題を解決するなら、1つの事業に集中してインパクトを出すやり方もあります。どうしていくつもやるんですか。

 【田口】1つに絞ると変化に弱くなります。僕らの理想はニッチトップを群として持つこと。1つの事業で10億円程度の売り上げが適正。社会課題に深く刺さった、ユニークで小さな事業体を複数持つほうが、突然の環境変化にも耐えられます。

失敗した事業もあるの?