世界の貧困解決のため「みんなを身内にする」社長 田原総一朗氏が迫る (4/8ページ)

 【田原】大家さんをどうやって説得したんですか。

 【田口】いくら説明しても、嫌がる大家さんには「日本でも昔は下宿して1つ屋根の下でみんなが切磋琢磨して暮らしていた。アパートで一人暮らしするいまの時代のほうがおかしいでしょう」と説得しながら、少しずつ増やしていきました。

 【田原】ハウスはいくつつくったの?

 【田口】1年間で20~30ハウスをオープンさせました。住むのは1軒で8~10人。日本人と外国人は半々で、多国籍なコミュニティーをつくっています。

 【田原】1軒つくるのに、どれくらいかかりますか。

 【田口】仲介手数料、敷礼金、備え付けのベッドや冷蔵庫を入れると、1ハウス250万~300万円かかりました。10ハウスは稼働させないと社員の給料が払えなかったので、最初に2500万~3000万円は必要でした。当時は金融機関がベンチャーにお金を貸してくれない時代。親戚に借りても足りず、社員の親からも借りてやりくりしてました。

 【田原】いまは何ハウスくらい?

 【田口】東京、大阪、京都、韓国、台湾、全部合わせて125です。

 【田原】実際に運営してみて、どんな点が大変ですか。住民同士がケンカしたりしませんか?

 【田口】多少は何かしらありますよ。でも、それがいい。むしろ部屋の掃除をした、しない、皿を洗う、洗わないといった小さなところに違いが出るので、異文化を理解するいいきっかけになると思っています。

 【田原】シェアハウスを皮切りに、ソーシャルビジネスをいろいろ展開される。たとえばバングラデシュに工場を建てて財布などの革製品をつくっている。これはどういう経緯で?

 【田口】日本で、あるバングラデシュ人から相談を受けました。彼の雇い主は給料を払わず、ビザも切れかけていた。結局、彼は自分で事業をやることになりましたが、事業の中身は未定。とりあえず僕が最初のお客さんになろうと、バングラデシュ視察のアテンドを頼みました。初めて訪れたバングラデシュは、想像以上に貧しかった。何とかしなくてはと始めたのが、革製品の事業です。

2人で立ち上げ、今や700人以上も雇用