【田原】失敗したものもあるの?
【田口】1つ、子ども服ブランドをつくりましたが、まったく利益が出ませんでした。サイズの幅広さ、激しい値引き競争といった子ども服業界の常識を知らずに勢いでたくさん出店して失敗しました。
【田原】逆にいうと、ほかの事業はみんな成功したの? すごい勝率だ。
【田口】事業は本来、一定の能力がある人が一生懸命やればうまくいきます。なのに、なぜ失敗するかというと、途中で情熱が尽きるから。ちょっと難しいと、自分がやりたいのはやっぱりこれじゃない、とすぐあきらめて、ちょっと上手くいくと飽きがきて「もういいか」となる。失敗というよりも、やめちゃうんです。逆にいえば、飽きのこないもの、つまり自分が心からやりたい事業を選んでやり続ければ、まず失敗しません。先ほど失敗例にあげた子ども服の事業も、いまはベビー服のギフトブランドに形を変えて継続しています。途中で投げ出さずに修正しながら続けていけば、必ず成功します。
世界の社会起業家の成功の輪をつくる
【田原】田口さんは、ぜんぶの事業にそんなに情熱を持ってるんですか?
【田口】それぞれの事業は各社長に任せています。というより、この事業で社会を変えたいと言ってきた社員に事業を立ち上げさせます。入社半年でミャンマーに飛び、昔の生協と同じシステムで僻地の村に物資を届ける事業を立ち上げた社員もいる。僕は彼らのプランに、ビジネスの視点から肉付けしていくだけです。
【田原】社員は会社を利用して自分がやりたいことを実現させるわけだ。
【田口】僕らの入社試験は、やりたいことありき。会社がやりたいことのために必要な人を雇うのではなく、本気でやりたいことがある人を集めて、彼らに会社のリソースを使ってもらえばいい。すでに自分でソーシャルビジネスをやっている人が僕たちを利用してもいいと思ってます。