データをもとに立体の造形物を作ることができる3D(3次元)プリンターが製造業の現場に「革命」を起こしつつある。プリンターの急速な技術革新により、顧客のニーズに応じた高精度の模型や試作品を比較的安価に生産できるようになったためで、各国が開発にしのぎを削っている。なかでも世界市場をリードし続ける米国の最前線を訪ねた。(米ミネソタ州エデンプレイリー 柿内公輔)
かつて世界屈指の製粉の町として繁栄した中西部ミネソタ州の最大都市ミネアポリス。その近郊の街、エデンプレイリーに世界の3Dプリンター市場でトップシェアを誇る米ストラタシスの本社がある。
ストラタシス社の子会社で3Dプリンターを実際に使って製品を作っているレッドアイ社の工場を訪ねると、廊下にオートバイの精巧な模型が飾ってあった。
「これも3Dプリンターで作られたんですよ」
誇らしげに語るプログラムマネジャーのティム・セリンさんに許可をもらい、実際に触れてみた。プラスチック樹脂独特のかすかな弾力が手に伝わる。人工骨の模型もあったが、こちらは「手術方法の開発などに利用される」とのこと。