低線量被ばく 未解明の部分に光
共同研究チームがインド・ケララ州のカルナガパリ地区で1998年から実施している疫学調査は、「低線量放射線被ばくと健康リスク」という未解明の部分に光を当てる結果となった。
調査は、同地区でも年間線量の高い4支区(チャバラ、ニンダカラ、アラパド、パンマナ)を高自然放射線地域として、年間線量の低い2支区(オアチラ、テバラカラ)を対照地域として設定し、単純な地区間の比較ではなく、その地区の住人を個人単位で情報を把握し追跡調査する方法をとった。調査対象は約17万人で、その内容は詳細をきわめている。
6地域すべての家屋で屋内外の空間線量を測定する一方、男女・年齢別の居住係数(1日のうち屋内外それぞれの場所にどれだけの時間滞在したかの割合を示す係数)を綿密に調査して対象者全員の個人被ばく線量を推定。また、喫煙・飲酒などの生活習慣や宗教・収入・職業といった社会経済状況も調べ、これらの健康リスクを排除した放射線だけの影響を解析した。
調査対象約17万人のうち、がんが発生する年齢に達した30~84歳の約7万人について、低線量から高線量までいくつかのグループに分けて発がんリスクを解析した結果、放射線による発がんリスクの上昇は見られないことが判明した。白血病についても線量に伴う多少の増加傾向は認められるものの、有意な差はなかったという。