--調査はどのように進めたのですか
「サーベイメーター(携帯用の放射線測定器)を使って全世帯の放射線レベルを測定し、これを基に住民の生涯累積被ばく線量を推定して、がんのリスクとの関係を調べました。もちろん放射線以外の要因も調べないと正確な評価をできないので、喫煙や飲酒、教育、宗教的背景なども含めて詳しく調査しました。調査には7~8年かかりました。がん登録のデータは世界がん研究機関から出版されている『五大陸のがん』にも掲載されており、信頼に足るものと考えます」
「調査では地域の放射線量だけではなく、どの程度の時間を屋外・屋内で過ごしているかなど個人線量の測定も重要です。2000年には、がんが発生する年齢に達した30~84歳までの住民を対象に線量計を2~3カ月携帯してもらい、個人線量を測定、解析しました。調査の結果、住民のがん罹患率が高自然放射線による生涯累積線量と関連することを示す証拠は得られませんでした。2005年までのデータを09年に米国保健物理学会誌『ヘルス・フィジックス』に発表し、世界から一定の評価を受けました」