福井地裁が運転差し止めの仮処分を決定した関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)【拡大】
【日曜経済講座】経済部長 島田耕
静岡県御前崎市。4月下旬、中部電力浜岡原子力発電所を訪ねると、想像していた通り至るところで安全対策工事が行われ、トラックが行き来するたび、土ぼこりが舞っていた。敷地内でひと際目を引くのが海抜22メートル、総延長1・6キロにおよぶ防波壁。津波対策として建設工事が進む4年前には存在しなかった“巨大な壁”だ。
平成23年5月。当時の菅直人首相が東京電力福島第1原発の事故を受け、全面停止を要請した浜岡原発。思い返せば、日本の原発政策の迷走はこのときに始まったといえるが、それでもこの4年間で原子力規制委員会の発足、新規制基準の策定、再稼働にむけた電力会社の安全対策…と原子力を再活用するための動きは一歩ずつ進んできた。
しかし、ここにきて新たな迷走と呼べる事態が起こっている。福井地裁は4月14日、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じる仮処分を決定。同22日、鹿児島地裁は九州電力川(せん)内(だい)原発1、2号機で仮処分の申し立てを却下し、新規制基準に基づく審査に「合格」した2つの原発で司法判断が割れたのだ。