福井地裁が運転差し止めの仮処分を決定した関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)【拡大】
ただ、責任は司法判断によるものだけではない。福井地裁の仮処分決定後、規制委は「新規制基準を見直す必要性は感じていない。世界で最も厳しいレベルだ」(田中俊一委員長)と述べたが、そもそも「最高水準」といっても解釈によって意味は異なってくる。
規制委は各情報を公式ホームページなどを通じて説明しているというものの、国民にも、裁判官にも新規制基準の考え方が浸透しているとは言い難い。今年は規制委設置法の付則による「3年経過後の組織の見直し」の年にあたるが、澤氏は「組織論としての見直し以上に、司法の場でも必ず参照されるような安全規制論、安全哲学論を文書化し、国民に説明する機会にすべきだ」と説く。
また、電力会社も規制委の言うことを聞き、守ればよいといった意識に陥っていないか、自らを問い直すことが大切である。そういう意識は決して安全を考えていることにはならないからだ。今回の司法判断をきっかけに、行政、司法、事業者が共通理解の下で丁寧な議論を重ねることができれば、福島事故で大きく損なわれた原子力技術の信頼を取り戻し、安全な活用に再びつながっていくことになるだろう。