田原 こんな問題もあります。新聞やテレビ・ラジオは、原発事故で大きな被害を受けた福島の人たちはまだこんなに苦しんでいる、こんな問題も抱えている、と報道しています。もちろん善意の気持ちからでしょうが、これが福島の人たちにとってはありがた迷惑になっている面があります。福島の悲惨さを強調して報道するあまり、風評被害がなかなか消えないんですね。例えば、地元から出荷する農産物は米を含めすべて厳重に検査し安全が確認され、生産量も回復している。そこに放射線による影響がいまだに尾を引いているというような報道すれば、買うのを敬遠してしまう人を増やし、マスコミが風評被害を増幅させているようなものです。福島の人たちにとって、これほど迷惑な話はない。いまだに福島はカタカナの「フクシマ」で特別扱いされているんです。
春香 福島の原発事故から学んださまざまな教訓を今後のエネルギー政策にどう生かしていくかが問われていますね。特に、原発問題はどうしても感情論が先に立ち、論理的・建設的な議論がされていないような気がします。賛成・反対という立場から議論に入るのではなく、いろいろな情報を得ながら、事実がどうなのかを具体的に読み解き、時には自分の意見を柔軟に変える勇気を持つこと。それが、多くの要素が絡み合う複雑な日本のエネルギー問題を考えていく上で大切なことではないかと感じました。