村上世彰元代表の長女の自宅前にはたくさんの報道陣が集まっていた=25日午後、東京都渋谷区(三尾郁恵撮影)【拡大】
投資先企業に次々と株主提案を突き付ける「物言う株主」として、市場で名をはせた旧村上ファンド元代表の村上世彰氏。今年7月に日経平均株価が2万円台を回復する中で、日本株投資を再び活発化させ、長女を前面に「元祖物言う株主」として“復活”をアピールしたばかりだった。
関係者によると、村上氏はインサイダー取引事件で有罪判決を受けた後、シンガポールに拠点を移し、アジアの不動産投資などで成功したという。潤沢な資金力を背景に、最近はアベノミクス効果で好調な日本株投資を活発化させていた。
特に大阪の電子部品商社「黒田電気」については、長女の絢氏が最高経営責任者を務める投資会社「C&Iホールディングス」(東京)による株式大量保有が判明。その後、村上氏個人の株などと合わせ、株式計約16%を保有し、事実上の筆頭株主に躍り出た。
C&Iは今年6月の株主総会で、村上氏ら4人を社外取締役に選任するよう株主提案。利益100%の株主への還元や、M&A(企業の合併・買収)を積極的に進めることを求めた。
C&Iは提案に反対する黒田電気側との間で委任状争奪戦を展開。8月21日に開かれた臨時株主総会で、株主の約6割の反対で否決されたが、元祖物言う株主の存在感を示していた。
ある大手証券幹部は「自身への世間の高い注目を逆手に、株価の上昇を狙ってきた村上氏に、目立たないように行う相場操縦の疑いがかけられたことは本当に意外」と話した。