人には得意不得意があるように、デザイナーにもそれがある。デザイナーがもつ好奇心と大きな世界を構想したいという欲求から、いろいろなジャンルに渡ってデザインをしたい人が少なくない。その傾向は個人的蓄積として、あるいは社会的な刺激として大いに歓迎すべきことだ。
しかし、デザインされたモノが売れるかどうかになると話は変わってくる。カーデザイナーが作った精密機器が売れることはあるが、ファッションや家具となると売れるものが減る。デザインの分業が今ほど明瞭でなかった時代でさえ、建築家や家具をメインとするデザイナーの自動車デザインは評価しづらい結果であることが多い。
そうしたところから、「デザインの国」と呼ばれるには、それぞれの分野で優秀なデザイナーが層として存在しないといけない。ゆえに複数の産業が世界で評価され、そのコアの価値にデザインがあると思われる国はそう沢山はない。
イタリア、フランス、ドイツ、日本あたりが上位クラスではないか。それ以外の国では突出したデザイナーはいるが他国の企業のための作品が多かったり、一社だけ有名な企業があるが、その次のポジションにある企業との距離が大きすぎたりする。そういう観点からすると英国も韓国も上位グループから外れると思う。どこかの国の限られた業界のトップ企業の活躍や教育だけをみて判断すると見誤るだろう。
一極集中型の産業発展をしてこなかった日本に「デザインの国」としての潜在力は高い。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih