■本音は自宅、家族に遠慮 サービスと実体験が必要
昨年末、この欄で滋賀県東近江市の永源寺地区を取り上げた。自宅で亡くなる人が4~5割に上る地域だが、永源寺診療所の花戸貴司医師によると、事前に書面を用意している人はほぼいない。紹介し切れなかったエピソードを交えてお伝えする。
昨年秋、肺がんの男性患者(72)宅で診察を終えた花戸医師は、こう話し掛けた。「抗がん剤でがんを減らすのは難しいと思う。がんがあっても、せきを止めるとか、息苦しいのを止めるとか、痛いのを止めるとかはできると思う」
男性は隠さず話してほしいと求め、淡々と言った。「余命の治療はしてほしくない。歩けんようなったら、できるだけ静かに家にいたい。覚悟もしてますんで」
花戸医師が「最期が近いようになったら、どこで最期がいい?」と問うと、日頃は「家がいい」と言う男性が、こう答えた。「最期は病院がいいかもしれん」
間を置いて、花戸医師が声を掛けた。「おばさんや息子さんには負担がかからんように、ぼくが往診したりとか、ケアマネジャーさんが調整したりとかしてくれると思う」