手足が震えるなど高齢者に多い進行性の難病、パーキンソン病の治療に、抗酸化物質のグルタチオンを点滴で投与する「グルタチオン点滴療法」が静かに広がっている。健康保険が適用されず、治療費が自己負担の自由診療となるが、根本的な治療法がない中で、震えを改善したい患者の選択肢となっている。(寺田理恵)
根治療法なく
「一時は字も書けず、症状が進めば歩けなくなると聞かされ、とてもショックでした」
東京都の主婦、加茂律子さん(71)は平成24年暮れ頃から手足が震えて握力が弱くなり、脳梗塞ではないかと病院に駆け込んだ。検査の結果、脳に問題はなく、25年2月に「パーキンソン病の入り口」と診断された。
パーキンソン病は手足が震えたり、動きが遅くなったりなどの症状がみられる。症状が徐々に進行し、かつては寝たきりになると思われていた。根本的な治療法は開発されておらず、症状を緩和する薬物療法などがとられている。