介護職の賃金を上げたけれど…「配偶者控除」の壁 矛盾する働く時間減少 (2/5ページ)

2015.9.13 17:10

家での介護は訪問ヘルパーに支えられている=東京都葛飾区

家での介護は訪問ヘルパーに支えられている=東京都葛飾区【拡大】

 これを超えて働いても課税額が急増するわけではない。しかし、多くの民間企業は、妻が配偶者控除の対象かどうかを指標に、従業員に「家族手当」などを出す。このため、「103万円」は女性が働き方を決める一つの目安になっているのだ。

 一方、業界全体として見た場合、介護職の処遇改善は必須の課題。政府は平成21年から賃金の引き上げを目指して、事業主を後押しする制度を進めてきた。だが、全国の介護職約170万人のうち4割を占める67万人が非常勤。現場は今、賃金アップで訪問ヘルパーの働く時間が減ることに頭を痛めている。

 ソラストは、率先して処遇改善をしてきた自負がある。制度開始前、同社の訪問ヘルパーの平均時給は関東地方で1500円だったが、今は1800円。時給が300円上がったことで、配偶者控除ぎりぎりで働く人はこの間に、労働時間を年間で100時間程度減らしたとみる。

 労働力が減るだけでも深刻だが、問題は、良いサービスを提供しようと、スタッフの技能向上を図っても、やっぱり働く時間が減ることだ。

「賃金が上がれば上がるほど、働く時間は減る」

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