家での介護は訪問ヘルパーに支えられている=東京都葛飾区【拡大】
だが、こうした技能を評価するしくみや習得する道筋は確立されていない。
上智大学の藤井賢一郎准教授は「本来は、一定の知識と技術のある介護職に、どの程度の賃金を出すか、という話をしなければいけない。だが今は、良い介護も悪い介護も一緒くたに論じられ、『安い』『給料を上げるべきだ』と言われる」と指摘する。
サービスの向上には利用者の声が重要な役割を果たす。利用者が質の高いサービスを選択すれば、質の高い事業者が生き残り、質の高いスタッフに高い賃金を出す-という好循環が生まれる。だが、藤井准教授は「現実はそうなっていない。利用する側が『見ていてくれればいい』『預かってくれればいい』という意識だと、事業者も『昨日、雇ったばかりの人でもできる』となる。それでは、介護職の技能を上げ、賃金を上げようという動機は生まれにくい」とする。
非常勤職員の中にも介護福祉士の資格を持つ人は多く、キャリアアップへの意欲は高い。だが、全体の4割を占めるだけに、技能向上を図ると働く時間が減る状況は、事業主の育成意欲をそぎ、介護の質の向上にもつながらない。
藤井准教授は「賃金の話は、技術や質をどう確保するのかということとセットで論じなければならない。まずは、介護福祉士の資格を得るための養成課程を強化し、専門職の技術と知識を上げることからだ」と話している。