高額ながん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は5日、現行ルールの計算式を用いて薬価を最大25%引き下げることを、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会に提案した。また、オプジーボを使用する医療施設や患者の要件について定める適正使用指針の骨子も示し、大筋で了承された。平成30年に予定される次回の薬価改定を待たず、来春にも特例的な引き下げを実施する。
厚労省は、2年に1度の薬価改定の際、薬価調査を行った上で、「市場拡大再算定」というルールを使い、予想を大きく上回って売れた薬の価格を見直している。29年度は薬価改定がないため薬価調査も行われないが、オプジーボを販売する小野薬品工業は28年度のオプジーボの予想売上額を1260億円と見込んでおり、厚労省はこの数字を活用。この数字に拡大再算定のルールを当てはめ、最大25%の薬価引き下げの対象とした。
ただ、今回の特例的な引き下げには製薬団体が反発しており、厚労省は「次回の薬価改定の際は、こうした緊急的な取り扱いをしなくても良いようなルールを定めたい」として今後、抜本的な見直しを議論する。
オプジーボは患者が年470人と少ない悪性黒色腫の治療薬として100ミリグラム約73万円という高額な薬価が中医協で認められたが、昨年12月から肺がんにも適応が広がり患者が数万人に拡大。今年8月には腎がんにも承認された。