町に繰り出せばいつもどこからかラテンのリズムが聞こえてくるサンティアゴ=デ=キューバ。楽しむことにかけては卓越しているキューバ人は、女性であれば必ず踊りに誘ってくれるので、1人参加でも大丈夫=キューバ(緑川真実さん撮影)【拡大】
車内にはもちろん2人以外には誰もいないので、思う存分キューバ人妻の本音を聞けたと友人は満足気だった。屋外では周囲を警戒してか、政府を批判する人はあまりいない。政府の悪口を言う時には、こぞって声のトーンを下げるので、少なくとも好ましい話題ではないことは確かだ。
この種の話を聞くと、頭の中のキューバ像が混乱してくる。ゆったりとした時間の流れの中、笑い声がこだまする和やかなお国柄と、数々の窮屈なルールに神経をとがらせて生活する国民。キューバには相反する2つのイメージがある。そして疑問が生まれる。限られた自由の中で、なぜ人々はあんなに朗らかに見えるのか。
≪「のんびりするしかない」 複雑な心境のぞく≫
南東部の都市サンティアゴ・デ・キューバで知り合ったコックのエドアルドは、「悠々としているのは、他に選択肢がないから。お金を稼ぎたくても稼げない。何かを作りたくても材料がない。世界を見たくても旅行できない」と持論を展開する。