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極北の精神を綴った吉田一穂の詩魂 北海道でなきゃ、こんな詩人は生まれない 松岡正剛 (2/5ページ)

2014.1.20 18:55

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 けれども、一穂を難解だからと放置しておいてはいけない。北方の遠い記憶をよびさますために綴った詩篇には、ついつい忘れがちな日本人の奥の問題が疼くのだ。黒潮の息吹・白鳥の伝説・太古の衝動が蘇るように凝集されているのだ。吉本隆明はこんなふうに指摘した。一穂の詩は「意識」だけからできていて、無意識の混入を排除するように作られている。呼吸をつめて人はどれくらい生きられるのかという問いに対して、吉田一穂は「生涯!」と答えられる詩人だと思う、と。

 岩波文庫の『吉田一穂詩集』を構成解説した加藤郁乎は、かつてこんなことを言っていた。「まず北原白秋でしょう。次が西脇順三郎で、そして吉田一穂ですよ。日本の詩人はこの3人ですべてです」。

 もっとも一穂は詩人の仕事だけをしたのではなかった。たくさんの童話も書いた。『海の人形』『銀河の魚』『かしの木と小鳥』などの童話集がある。『もも』という童話は、子供に「桃太郎ってほんとにいるの」と聞かれたお父さんが、種をまいて育てれば桃太郎になると言うので、楽しみに待っていると、子供が育つほうが早いので、大きくなって訝(いぶか)ると、お父さんが笑って「おまえが桃太郎なんだ」という話になっている。すばらしく優しい出来栄えだ。

「最深観念の幾何学」ともいうべき内容と文体にびっくりした

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