アクリフーズ群馬工場の内部。商品の包装がほぼ完了し、外袋に穴や傷などがないかを従業員が確認している=2012年12月5日(冷食タイムス提供)【拡大】
ライン間移動に死角?
立件への壁となったのは犯人がマラチオンを混入させたことを示す明確な証拠だった。どこで、どのように農薬を混入させたのか解明できなければ、混入と容疑者という「点」を「線」で結ぶことはできない。
複数の従業員の証言によると、工場内での作業着にはポケットがなく、私物を持ち込むのは難しいという。さらに製造時は、従業員が異なるライン間を行き来できない。ただ、ある男性従業員は「袖口などにポリ袋を忍ばせることはできたかもしれない」と話す。包装時はライン間の移動が物理的には可能だった。そこに「死角」があったのか。
「包囲網」が徐々に狭まるなかで突如、行方をくらませたのが、犯行を行えるすべての条件に該当する阿部容疑者だった。
≪阿部容疑者、給与に愚痴こぼす≫
勤務先の工場で冷凍食品に農薬を混入したとして偽計業務妨害容疑で逮捕された阿部利樹容疑者(49)は、自分から職場の同僚に話し掛ける社交的な性格で知られる一方、給与など待遇に不満を漏らすこともあった。