ミスマッチ楽しんで
「焼きアワビ」は5ミリ程度にスライスしたアワビを、一枚ずつ備長炭の炭火で炙りながらいただく。アワビのキモを裏ごしし自家製しょうゆと混ぜ合わせた濃厚なタレにつけて口に含むと、コリコリとした食感が引き立ち刺し身とは異なる味覚が楽しめる。左党には酒のアテにもってこいだ。
揚げ物の皿には車エビやキス、タラの芽、フキノトウなどの天ぷらが盛りつけられる。食材それぞれの持ち味を生かすように衣は薄く揚げられており、山椒塩が上品な味わいを醸し出す。
大学で食品工学を学んだという橋本さんは、食品の化学的な変化などを読んで料理を創作する。サントリーウイスキーのチーフブレンダー、輿水精一氏と知り合った縁から、ウイスキーを組み合わせた懐石料理を商品化。例えば、すりおろしたカブラを大さじ1杯、ホットウイスキーに入れると、まるで日本酒の濁り酒だ。「そのミスマッチを楽しんでもらいたい」(橋本さん)というのが狙い。