≪鈴木8位、村上15位≫
大好きで始めたスケートだからこそ、鈴木明子は最後まで笑顔を絶やさずに滑り切った。
実は、ジャンプの調子はどん底だった。優勝した昨年(2013年)末の全日本選手権あたりから、左足の小指にできた血豆の痛みに苦しめられたのが原因だった。左をかばううちに年明けには右の小指も悪化。痛み止めの薬が欠かせない中で跳び続けたが、感覚のずれは修正できていなかった。
自らのスケート人生を舞ったSP曲「愛の賛歌」は出だしから狂いが生じた。冒頭の連続3回転ジャンプがいきなり単発に。それでも、「ミスしても切り替えようと。何度も何度もそうやって試合をしてきた」と続く3回転の後ろに2回転をつけて粘った。
圧巻はスケート人生の幸せをかみしめながら舞った終盤のステップ。ジャンプの失敗を引きずることなく、堂々と笑顔でリズムを刻んだ。「長く滑っていれば、質はよくなる」という言葉に偽りはない。28歳まで磨いてきたスピンとステップは、すべて最高難度のレベル4を獲得した。