小さい方のゴールドツリーは当初、服が主役であることから少し控えめに作られた。だが、オープン2日前にそれを見た川久保さんは「もう少しボリューム感が欲しいわね」。その一言で、名和さんは、改装工事が大詰めを迎えた店内で、何時間もかけてツリーに手を加えていった。最終的に小さい方のツリーは、フランス語のコム・デ・ギャルソンが意味する「少年のように」生まれ変わった。当初、ツリーの頂上から天井までの空間は20センチほどあったが、変身後は天井まであと1.5センチに迫っていた。
子供の木は、あふれる生命力や冒険心に身を任せ、そのまま天井を突き抜けて、摩天楼に囲まれたニューヨークの空まで伸びていきそうだった。その勢いが名和さんの姿と重なった。(写真・文:フォトグラファー 中尾由里子/SANKEI EXPRESS)
■なわ・こうへい 1975年、大阪府生まれ。京都市立芸術大大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。彫刻家、京都造形芸術大学准教授。「セル」という概念を機軸に、多様な表現を展開。2009年よりクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」を京都に立ち上げる。