欧州のナショナリズム
ナショナリズムが過去の現象ではなく、21世紀に息を吹き返しているという宮家氏の分析は鋭い。英国のスコットランドでは11月に独立の是非をめぐる住民投票が行われる。ベルギー北部のフラマン語(オランダ語)使用地域でも、分離独立派が無視できない影響力を持っている。
ロシアのプーチン大統領は「元インテリジェンス・オフィサー(諜報機関員)という言葉は存在しない」とよく口にする。インテリジェンス機関に勤務した者は組織を離れても一生諜報業務を続け、国家に奉仕する義務があるという意味だ。プーチン大統領は諜報機関員の目で、ナショナリズムや民族自決権がヨーロッパで再び力を取り戻していることを確認した上で、「民族自決権」というカードを切れば、ヨーロッパはロシアによるクリミア併合を最終的に認めることになると判断した。米国にクリミアの現状を力によって覆す意思と能力がない状況で、プーチン大統領の思惑通りに事態は進捗(しんちょく)している。
現在、ウクライナ東部の情勢が緊張している。そのため、今月(4月)末に予定されている岸田文雄外相の訪露が延期、もしくは中止されるのではないかという報道が一部でなされている。これに対して、複数の外務省幹部がオフレコ懇談で、「まだ何も決まっていない」と強調している。