一方、世界自然保護基金(WWF)は報告書の内容を支持するとした上で「再生エネルギーと省エネに集中的な投資が必要」と指摘。グリーンピースは声明で「再生エネルギーは日々改善され安価になっている」と述べ、石炭など化石燃料に頼る時代を終わらせなければならないと訴えた。
≪国際目標に道筋も技術的課題は山積み≫
IPCC第3作業部会の報告書は、地球温暖化の悪影響を回避するための国際目標である、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える道筋があることをはっきりと示した。実現にはエネルギー分野を中心に大規模な変革が必要で、技術的課題も伴う。
国際目標の実現に向けては、火力発電所で発生する大量の二酸化炭素(CO2)を地中に閉じ込めるCCSという技術の利用が想定されている。CCSは商業レベルで使われている例はなく、日本でも2020年の技術確立を目指して開発中の段階だ。
再生可能エネルギーの利用拡大などの対策が遅れるほど、大気中からCO2を取り除いて減らすという現存しない夢の技術に頼らなければならなくなる。新報告書は、植物などを燃やすバイオマス発電装置にCCS設備を併設する手法を紹介しているが、「対策の遅れは将来、高くつく」とも警告した。