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【RE-DESIGN ニッポン】「買える骨董品」肥前吉田焼 (2/4ページ)

2014.5.16 15:40

肥前吉田焼の水玉食器を手がける副島謙一さん。日本中で使われてきた水玉食器の生産を現在でも続けるたった一人の職人だ=2013年12月18日、佐賀県嬉野市・吉田地区(中島光行さん撮影)

肥前吉田焼の水玉食器を手がける副島謙一さん。日本中で使われてきた水玉食器の生産を現在でも続けるたった一人の職人だ=2013年12月18日、佐賀県嬉野市・吉田地区(中島光行さん撮影)【拡大】

  • 出荷を待つ朱色の水玉模様の急須。飽きの来ないデザインと使いやすさを兼ね備えており、「用の美」を感じさせる=2013年12月18日、佐賀県嬉野市・吉田地区(中島光行さん撮影)
  • 佐賀県嬉野(うれしの)市・吉田地区

 しかし、初めて吉田地区を訪れた際、私たちは衝撃を受けた。水玉食器の作り手は現在、たった一人の職人、副島謙一さん(42)だけだったからだ。作業場をみせてもらって、その理由がわかった。水玉模様は一つ一つ手作業で削って作られていたのである。しかも素焼きを終えた食器に、正確かつ美しく模様をつけていくためには、かなりの腕力が求められる。副島さんの体格がやたら良いのは、このためでもあった。こうした丁寧な手作業は、大量生産が広がる中で次第に敬遠されていったのだ。

 副島さんは、そんな中でも水玉食器にこだわって作り続けてきた。意地もあった。最も大切にしてきたのは、「買える骨董品」というイメージだという。ちょっと古臭さもあるが、今の日常生活にも対応できるもの。このためにお客さんとの対話を重ねながら、デザインなども少しずつ改良を重ねてきた。この結果、水玉模様の食器は近年再び注目を集めるようになり、2010年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した。デザイナーと組んでの受賞ではなく、職人の地道な製品改良が受賞につながったことにも注目したいと思う。

共感、朱色への挑戦

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