ところで、「鉄瓶」ではなく「鉄ピン」とはこれいかに?
「お客さんが考えてくださったんですよ。ピンッと揚がる、べっぴんのピン…、濁らない方が響きがいいでしょうって」と女将の柴田京子さん(71)。京都市交響楽団やNHK交響楽団などの指揮者を歴任し、当時、常連客だった森正さん(1921~87年)が考案し、看板メニューとして提供するようになったという。自分のペースに合わせて食べられるのがいい。
旬の「はもおとし」や「鮎の塩焼き」もたまらない。京らしい薄味のダシがしっかり染みた「おでん」も人気だ。あれ? メニューに「エレベーター」や「ジェラシー」と意味不明の料理名が…。
「エレベーター」は“アゲオロシ”にひっかけて厚揚げとおろし大根、「ジェラシー」は“ヤキモチ”にかけて焼き餅なのだとか。「初めてのお客さんでも、これで会話がはずむんですよ」