この効果もあって、具体性のあるコメントが増えてきている。今月(5月)14日に経営統合が報道されたKADOKAWAとドワンゴは「本日開催の取締役会に付議する予定」と、報道が事実であることを示唆するコメントを発表した。
最近、報道に対する情報開示の内容が注目されたのは、川崎重工業と三井造船の経営統合交渉に関する報道での“騒動”だ。昨年(2013年)4月、川崎重工は報道を否定するコメントを出しながら、約2カ月後に一転して交渉があったことを認めた。当時、日本取引所グループの斉藤惇最高経営責任者は「株主のことが頭から消えている」と批判した。
もっとも、企業側にも踏み込んだコメントを出しにくいケースがあるのは事実。野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「肯定コメントを出した後に状況が変わったりすると、企業は法的なリスクを負う。また、M&Aでは開示が交渉の破談につながる可能性もある」と指摘する。