標準的なケースは名目成長率1.6%(実質0.4%)が前提。基礎年金部分はこの場合、43年度には現在から約3割目減りし、国民年金だけで老後を暮らす人にはさらに打撃が大きい。財政検証で厚労省は、8ケースの経済状況を仮定して試算。60年の合計特殊出生率が1.35など将来の人口推計が中位の場合、経済が成長する5ケースで代替率50%を維持できるとした一方、女性や高齢者の労働参加が進まず、低成長が続く3ケースでは50%を割り込むとした。最も悪い想定では、国民年金の積立金が枯渇し、代替率は35%程度にまで落ち込む。
所得代替率は、平均的な賃金を得ている夫が40年間厚生年金に加入し、この間妻は専業主婦で過ごす世帯で計算。14年度の年金額は、月21万8000円で代替率は62.7%。標準的なケースでは、給付抑制が終了する43年度は月額24万4000円(現在価値に換算)で、代替率は50.6%となる。財政検証は5年に1度で、前回は標準的なケースに近い「基本ケース」で50.1%。今回は推計人口が好転したため、代替率がやや上向いた。
≪バブル崩壊前の成長前提「楽観的過ぎ」≫
厚生労働省は今回の財政検証で、将来の年金額に大きく影響する経済の前提を8ケース想定した。結果からは、日本経済がバブル崩壊以前のような活力を取り戻せれば、政府が公約した給付水準を維持できるが、1990年代以降の停滞が続くようだと、大幅な目減りが避けられないことが浮き彫りとなった。