2014年の公示地価は3大都市圏が6年ぶりに上昇、全国平均も下落幅が大幅に縮小した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復が、期待感から実感を伴う形になりつつある姿が浮き彫りになった。今後は成長を持続するとともに、地方に波及させることが課題になる。さらに一部で再来が懸念される不動産バブルの防止もカギを握りそうだ。
3大都市圏の中でも上昇が際立つのが東京圏と名古屋圏だ。ともに企業の業績好転が地価を支えている。
東京・丸の内のオフィスビルでは、昨年(2013年)後半から入居の相談が相次ぐ。「便利でステータスの高い場所に移りたい」との要望が増えており、運営する三菱地所は一部で賃料の引き上げに踏み切った。帝国ホテル(東京都千代田区)では今年に入り、法人中心の宴会需要が前年比10%増のプラスに転じた。
東京都の商業地は平均2.3%の上昇と、都道府県では全国1位の上げ幅だ。都心部のオフィスの平均空室率は、2月で7%と8カ月連続で低下した。
名古屋はトヨタ自動車と関連企業の業績が好調。名古屋駅周辺の再開発や今秋めどに着工予定のリニア新幹線への期待から付近の地価を10.1%押し上げた。