で、これが昨年やっとDVD化された。すぐさま購入した私は存分に作品を楽しんだのだが、思わぬ特典映像が入っていた。撮影から11年後に田島兄弟の展覧会が高知で開かれるのをきっかけに、この映画の同窓会的なものが開かれ、兄弟を演じた双子が20歳に近づこうかという青年として姿を現したのだ。かすかに面影を残すものの、すっかり大きくなった彼らの姿に驚いたのは当然なのだが、それよりも興味深いのは、彼らがこの映画に出演していた当時のことを、幼過ぎてほとんど覚えていないということなのだ。明らかに戸惑ったような表情で再会の挨拶を交わす。
観客が入り込む世界
この作品の大きな魅力のひとつは高知の大自然の中で過ごした経験など全くない東京育ちの私でも、この国の原風景として、どういうわけだか随所に懐かしさを覚えることにある。青々とした森林、圧倒的に広がる空と雲、全方向から響いてくる蝉(セミ)の鳴き声、唐突な豪雨、川のせせらぎ、その川で遊ぶ子供たちのはしゃぎ声、精霊的に村の様子を見つめて話す3人の老婆たちさえも、つまり見たことのない情景さえも懐かしくさせる、大仰に言えば全ての日本人の中に眠っている大地の記憶に語りかける映画なのだ。