この動きに応戦したのが独シーメンス。ただ、資金難などから単独での買収は見送り、製鉄機械の合弁設立などで緊密な関係にあった三菱重工に白羽の矢を立て、両社で1兆円規模の買収提案にこぎ着けた。欧州を拠点とするシーメンスは、何としてもGEの参入を阻止し、牙城を守りたい。一方、三菱重工も今年2月に日立製作所と火力発電システム事業の合弁を設立し、この分野で世界首位に立つ野望がある。両社の思惑が一致した。
今回、アルストムへの提案で三菱重工は、31億ユーロ(約4280億円)を投じ、3つの合弁企業をつくり、蒸気・原子力タービン事業で40%、送配電機器事業、水力発電事業でそれぞれ20%出資するほか、アルストム本体へも最大10%出資する。
三菱重の利益疑問視
しかしこの提案は評価が分かれる。三菱重工が初めて送配電機器事業に絡む点は前向きに受け止められているが、「出資比率からいえば(三菱重工が)主導権を握れず、現場との一体感を出すのに時間がかかり、相乗効果は出しにくいのではないか」(大和証券の田井宏介シニアアナリスト)と危惧する声もある。約5000億円という巨額出資に対し、買収効果を上げられるかが疑問だというわけだ。