専門家らは、ここに2つの要因を見ている。まずは、ソ連崩壊から時間がたち、ロシアの全般的な生活水準が向上したのに伴ってソ連への憧憬も薄れてきたということだ。もう一つは、「ロシア系住民の保護」を名目に行われた3月のウクライナ南部クリミア半島併合やウクライナとの対立により、ロシア国家への愛国心が一気にかき立てられたことである。
クリミア併合は、ウラジーミル・プーチン大統領(61)による「ソ連再興の野望の表れ」と解釈されがちだが、実際にはロシア民族を中核とする「国民国家」を希求する国民感情に火をつけた可能性がある。
帝国維持費に課題も
「ソ連再興の野望」にむしろ近いのは、5月29日にロシアとベラルーシ、カザフスタンの旧ソ連3カ国が発足を宣言した「ユーラシア経済連合」だろう。プーチン氏は旧ソ連諸国の再統合を通算3期目の最重要課題に掲げており、政権はこれを「歴史的出来事だ」と自賛した。3カ国は現行の「関税同盟」を発展させ、人やサービス、資本の移動自由化と共通の産業政策導入によって、2025年までに単一市場の形成を目指す。