だが、旧ソ連で域内第2の大国、ウクライナがこれに参加する見通しは遠のき、加入に前向きなのはキルギスやアルメニアといった貧しい国々、あるいはロシアが一方的に独立を承認したグルジアのアブハジア自治共和国や南オセチア自治州といった地域だ。経済統合の効果は薄いと予想されているばかりか、ロシアがこうした連合体を維持するための「出費」は大変なものになる見通しだ。
ロシアは現時点ですでに、親露的な周辺諸国・地域への支援やロシア軍部隊の駐留に国家予算の5%を投じていると試算されている。「帝国」の維持費がロシア経済の足を引っ張っていることが明白になれば、こうした構想に対するロシア国民の否定的意識が強まる可能性は十分にある。1990年の「国家主権宣言」も、ソ連時代の不自由な生活とともに、ソ連構成共和国を支えるためにロシアが低い生活水準を強いられていたことへの反発だった。
外国人労働者流入に反発
ただ、ロシア人のソ連に対する感覚には、当時も今もはっきりしない部分が多い。