【安倍政権考】
「政治とは可能性の芸術」と語ったのは、ドイツの宰相ビスマルク。だが、今回明らかにされた代物は「芸術」とは言い難い。自民、公明両党で実質的に合意した、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定案のことだ。行使を認める文章がある一方、憲法9条の政府見解は従来通りと読める部分もあり、玉虫色の側面があるのは否めない。「可能性」を追及した結果がこれとは、何とも嘆かわしい。
保守系から懸念
「私は国民の命と平和な暮らしを守る責任を負っている。行政府が憲法を適正に解釈するのは当然で、必要なことだ」
安倍晋三首相は6月24日の記者会見で憲法解釈見直しの必要性を重ねて強調した。
だが、閣議決定案をめぐっては、自民党の保守系議員から早速、懸念の声が上がっている。