(1)前作に新たな写真を加え、上製本になり写真再現性も高まった。衣服を中心とした命の痕跡たちが、ページをめくる手を止めさせる。巻末には小説家・周防柳が寄せたテキスト「水色のワンピース」も収録。ものとしてのたたずまいがよい。求龍堂、8640円。
(2)ひろしまと石内の邂逅(かいこう)はここから始まった。石内は遺留品の詳細な資料には目を通さず、今目の前にあるモノと対峙しながらシャッターを切った。過去の物語は必要ないと語る彼女が写し撮った写真には、遺留品たちの鮮烈な「いま」が宿る。集英社、1944円。
■中学生の時に被爆するも、それについて何も語らなかった周防の父親。彼をモデルに据え、創作という形で1945(昭和20)年の8月に舞い戻る。惨劇と淡い恋のコントラストは、痛切に胸を打つ。集英社、1512円。
【ガイド】
7月9日(土)午後5時から写真家・石内都さんと作家・梯久美子さんのトークイベントを開催。<会場>西武池袋本店別館9階池袋コミュニティ・カレッジ 28番教室。<参加チケット>1000円(税込)。<チケット販売場所>西武池袋本店書籍館地下1階リブロリファレンスカウンター。問い合わせは、リブロ池袋本店(電)03・5949・2910