薄暮から夜へと変わる微妙な時間の中で、青竹にろうそくをともした竹灯籠が境内に浮かび上がる。今年は8月1日から31日まで、期間限定で龍口寺本堂と五重の塔のライトアップも行われている。
ブルーの光に輝く本堂の大屋根、深紅の五重の塔、そして地には竹灯籠のゆらめき。まだ暑さの本番はこれからだというのに、体の熱がすっと冷やされ、物思う季節に踏み込むような気配だった。
≪苦しみ救う すすの跡≫
どうかなあ、大丈夫かなあ…。夜空とにらめっこをしているうちに、ぽつり、ぽつりと降り出してきた。(8月)9日午後11時、台風11号ははるか西の四国沖を北上中だったが、鎌倉上空にも湿った空気が入り込み、厚い雨雲が空を覆う。
雨脚は次第に激しさを増し、その中で傘と懐中電灯を手にした人たちが谷戸(やと)の坂道を上がっていく。真言宗鷲峰山覚園寺(かくおんじ)で黒地蔵の縁日があるからだ。