日付が変わる10日午前零時開門。昔からお参りは早いほどいいといわれているそうで、「くらやみ参り」とも呼ばれる。さすがにこの雨では訪れる人も少ないのでは…という予想を見事に裏切り、開門の少し前には長い列ができた。100メートルはあるだろうか。
「ああ、本降りになっちゃったねえ」と話しながらじっと傘をさし、ゆっくりと列が前に進むのを待つ。まさに善男善女。その表情には、お天気とは対照的に荒れたところも、湿ったところも見られない。
「こんなに来ていただいて、ありがたいことです。一生懸命、お祈りしなければ」と覚園寺の副住職、仲田順昌さんも自らに言い聞かせるようにいう。
地蔵堂に安置される黒地蔵(木造地蔵菩薩立像)は慈悲深く、地獄に落ちた罪人の苦しみを少しでも和らげようと、鬼にかわって自ら火を焚(た)く。このため全身が黒くすすけ、いくら彩色しても一夜のうちに元の黒地蔵に戻ってしまう…。
少し離れた千躰堂(せんたいどう)には小さなお地蔵様がずらりと並ぶ。大きさはほぼそろっているが、年代には開きがあるようだ。古いお地蔵様は室町時代から江戸時代初期に彫られているという。