指導部は財政健全化路線
このためライアン氏ら共和党の大統領候補が16年の大統領選で民主党の支持基盤を切り崩すには、貧困対策に背を向けることはできないのが現実だ。各候補が現段階からさまざまな提案を打ち出すことには、政権運営を担えるという実力をアピールする狙いがある。
ただし共和党支持層の一部は財政健全化を強く主張しており、歳出拡大を招きかねない貧困対策への傾斜には抵抗感が強い。ジョン・ベイナー下院議長(64)ら共和党指導部は各氏の対策に目立った反応は示していないのが現実だ。共和党指導部にとって目下の課題は11月に迫った中間選挙での勝利。財政健全化に取り組んでいるイメージを弱めかねない貧困対策をおおっぴらにアピールすることには慎重に成らざるをえないものとみられる。
逆に共和党指導部はオバマ大統領を訴追する動きを見せるなど、オバマ政権との対決姿勢を鮮明にしている。ライアン氏らの懸命のアピールは指導部の強硬姿勢に覆い隠されている面もありそうだ。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)