雨晴(あまはらし)海岸から見た女岩。名前に反して、残念ながら雨に煙っていた。まわりの小さな岩と合わせると、母子のように見えることから「女岩」と呼ばれるようになったという=富山県高岡市(井浦新さん撮影)【拡大】
日本の銅器の9割以上を生産する富山県高岡市。この夏、高岡市美術館で開催されている「メタルズ!-変容する金属の美-」展のシンポジウムに参加した。
古代の青銅器、銅鏡から、金製の勾玉(まがたま)、切り透かしの金銅小幡、二条城二の丸御殿の飾金具、さらに世界を驚かせた明治の超絶技巧や現代の工芸品まで、およそ100点が一堂に会するという豪華な展示を鑑賞し、めったに体験できない金属器の世界にどっぷり浸ることができた。
美術館に行く前に、高岡の自然の風景をファインダーに収めようと、大急ぎで雨晴(あまはらし)海岸に出かけた。源義経が奥州平泉へ逃げていく途中、突然雨が降り出し、弁慶が岩を持ち上げてその陰で雨宿りをしたという「義経岩(よしつねいわ)」へも行ってみる。
高岡市唯一の島である男岩、そして女岩も見えた。晴れていれば富山湾越しに立山連峰が連なる絶景が見えるはずだったが、残念ながら雨空に煙っていた。義経もこんな風景を見たのだろうか。かつて日本海沿岸は北前船でつながり、高岡鋳物のニシン釜が北海道まで運ばれていたという話を聞き、遠い土地とのつながりを思う。