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我が眼前の額縁と、ハロルド・ピンターの「背信」と 長塚圭史 (2/5ページ)

2014.9.16 15:00

エマ(松雪泰子)とジェリー(田中哲司)は、互いに家庭を持ちながらも、午後に愛し合う関係を続けてきた。ジェリーの親友であり、エマの夫であるロバート(私)はこのことを知らずにいるのだろうか。写真は現在上演中の「背信」の一場面。ふたりの午後=2014年9月7日(篠山紀信さん撮影、提供写真)

エマ(松雪泰子)とジェリー(田中哲司)は、互いに家庭を持ちながらも、午後に愛し合う関係を続けてきた。ジェリーの親友であり、エマの夫であるロバート(私)はこのことを知らずにいるのだろうか。写真は現在上演中の「背信」の一場面。ふたりの午後=2014年9月7日(篠山紀信さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 全ては記憶通して

 つまりどういうことかというと、私の周りにあるもの、その全てが、明確だったり曖昧(あいまい)だったりしながらも私の記憶を通して認識される。私は種々さまざまな記憶物に囲まれている。家はその最たるもので、現在私が座っている椅子さえも、意識さえすれば20年近い年月がざざんと流れるだけの記憶物である。いちいちそういった回想をせずに過ごしているから何ということはないが、冒頭のように一つ一つ吟味し始めると、途端に自分がいる場所がどこなのかわかってくる。

 現在私は自宅のリビングにいる。ゆえにこれだけの安心感を獲得している。そう考えると他人の家に行くというのはなかなかのことだ。つまりはまったく知らない物に囲まれるということなのだ。そして当然その家に住む者はそこにある物全てを(あるいは多くを)知っている。完全に相手のテリトリーである。相手は私が何も知らないという前提の元に接し、語りかけてくる。そして私の記憶に重なり合うようなものを見せてくれるだろう。私がプレゼントしたグラスを出してくれるかもしれない。私の好きなジャンルのレコードを聴かせてくれるかもしれない。そうやって私をリラックスさせてくれる。ここが安全な場所だということを示してくれる。

真実を捏造、改竄

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