安倍晋三政権は、人口減少問題や地方活性化に取り組む「地方創生」を最重要課題に掲げた。日本は急速な少子高齢化で既に人口減少が始まっている。このような国は世界でもまだ珍しく、経済縮小、国力低下が懸念される。止まらない東京圏への一極集中も相まって、地方衰退の危機感も大きい。地方創生が焦点となる29日召集の臨時国会を前に論点をまとめた。
人口減少社会の本格的な到来に対する危機感は、国や自治体でもかつてなく高まっている。安倍政権は年末にかけて具体策を打ち出す構えで、自治体が独自の戦略をつくる動きも広がる。ただ、日本の財政が急速に悪化する中、大規模な減税や予算措置は難しく、抜本的な解決策を打ち出せるかは不透明だ。
政府は、今年6月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」で、人口維持の目標を初めて掲げ、第3子以降の育児や教育を重点支援するなど少子化対策を強化する方針を示した。8月末に締め切った来年度予算の概算要求でも、地域経済の活性化策などで4兆円程度の特別枠を設けた。9月の内閣改造では地方創生担当相が新設され、石破茂氏が就任した。地方活性化の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」も本格稼働し、2020年までの「総合戦略」などを年末にまとめる方針だ。9月29日召集予定の臨時国会には関連法案が提出される。