拉致再調査に関する報告の先送りを受け、9月29日に行われた日朝政府間協議の内容について記者団の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相。北朝鮮側のもの言いは「成果はないけど訪朝してください」と言っているに等しい=2014年9月30日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
安倍晋三首相(60)が膠着(こうちゃく)状態に陥っている日朝交渉に頭を痛めている。北朝鮮が、「夏の終わりから秋の初め」で同意していたはずの拉致被害者らの再調査の初回報告を行わず、1年を目途とした調査期間もほごにする可能性が出てきたからだ。あの手この手で日本を翻弄する北朝鮮の交渉戦術ばかりが際立っている。
拉致再調査の報告先送り
報告時期をめぐっては、政府が今月10日の閣議で今年5月と7月に開かれた日朝政府間協議について「『具体的にいつまでに調査結果をわが国側に伝えるか』の合意はなされていない」とする答弁書を決定した。地域政党「新党大地」の鈴木貴子衆院議員(28)の質問主意書に答えた。
ところが、これまで外務省幹部や菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)は「夏の終わりから秋の初め」とする初回報告時期について「北朝鮮側と認識を共有している」と記者会見などで繰り返し述べていた。この言葉からは日朝双方の意思が一致する「合意」があったと受け取るのが自然だろう。このため、拉致被害者の家族会も期待に胸を膨らませていた。