拉致再調査に関する報告の先送りを受け、9月29日に行われた日朝政府間協議の内容について記者団の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相。北朝鮮側のもの言いは「成果はないけど訪朝してください」と言っているに等しい=2014年9月30日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
また、宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使(59)は日朝外務省局長級協議で時折笑顔をのぞかせ、冗談も言うなど表面上は友好ムードを演出してきた。
「日韓には日韓基本条約、日米には日米安全保障条約がある。朝日には何がありますか」とも訴え、日朝国交正常化の必要性をアピールする場面もあったという。
ところが、実際の宋氏は初回報告を先延ばしにしたうえに日本政府担当者の平壌派遣を突如、提案して外務省を混乱させる一方、対外的にはマスコミの取材に応じ拉致問題解決に向けた真摯(しんし)な姿勢をアピール。結局、外務省は何一つ有効打を放てず成果を得られないまま、北朝鮮主導の議論を許してきてしまった。日本側のカウンターインテリジェンス(防諜活動)の欠如が露呈してしまった結果でもある。