拉致再調査に関する報告の先送りを受け、9月29日に行われた日朝政府間協議の内容について記者団の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相。北朝鮮側のもの言いは「成果はないけど訪朝してください」と言っているに等しい=2014年9月30日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
実際のやりとりはどうだったのか。日朝関係者によると、7月1日に日朝外務省局長級協議が北京の北朝鮮大使館で開かれた際、日本政府は特別調査委員会の初回報告時期について「夏の終わりから秋の初め」とするよう提案。また、調査期間については「1年でお願いしたい」と求めた。
さらに日本側が、こうした期限について「日本でマスコミに発表したい。それで良いか」と迫ると、北朝鮮側は「分かった」と了承したという。
ある日朝関係者は、「条約のように書面を取り交わしたわけではない。ただ、口約束といえども、まさか破るとは思わなかった」と振り返る。
交渉にあたる外務省には期限を定めてマスコミに公表することで、早期に北朝鮮に誠意ある報告を促そうとする目算があった。ところが、北朝鮮はいとも簡単に約束を破ることで逆に日本側を窮地に陥れた。これでは約束を破られた側とはいえ日本政府の交渉能力が問われることにもなりかねない。結果として北朝鮮に手玉に取られてしまったといえる。